読了:「イエスタデイ」(短編集:女のいない男たちより)

村上春樹の短編集「女のいない男たち」よりイエスタデイを読了。

ちょっと前に映画になったドライブマイカーが入った短編集。文庫版でだいぶ前に買ったけど積読であったものを、休みなので少しだけ読んだ。

 

作者本人的な大学生時代の主人公と、そのバイト先の同僚の関西弁を話す田園調布出身の少し変わった浪人生の友人とその美人の彼女。登場人物的には主にその3人。

特別なことは何一つ起こらずに十年以上が物語の中では経過して終わる。

 

何だろうねこの話を仮に20代の頃に読んだとしてその時の自分が感じるものと、半世紀を生きた今読んで感じるものとでは多分かなり感じ方が違うだろうなと思った次第。

 

話の内容は村上春樹作品に通じる、何も得ることはできなかったその瞬間があってこそ、人生はそれでも続いていき今がある的な話なのかなぁって感じなんだけど、こういうのって実際にそれぞれの読者の人生も多かれ少なかれ何かがあって今があるわけだから、現状を少なからず肯定的にとらえることのできる人には、入ってくる作品なのかなという気がします。

 

まぁ主人公のせりふ回しは作中でも自虐的に言ってるけど「きめすぎ」感があってそういう部分はきっとアンチの人達にはげぇって感じなんだろうな。私はそういう部分も含めて彼の作品が好きなので楽しめましたが。

 

余談ですが、映画のドライブマイカーはこの作品集から少しづつエッセンスを得ているとかいう噂なので、ちょっと一通り読んでから観てみるかなぁ。