読んだ本:シーソーモンスター

シーソーモンスター 伊坂幸太郎

星3.5

いくつかの同一の設定の上で複数の作家による小説群を作ろうという螺旋プロジェクトの主催?である伊坂氏による本作。

昭和を舞台としたシーソーモンスターと、近未来を舞台としたスピンモンスターの中編小説2つからなる本作。この小説上2作は実体としては完全に同一の世界線の延長上にある話で、設定だけではなくとある重要人物がいずれの小説にも出てくる。

物語の構造や主人公たちの状況描写や設定など、事前情報なるべくなしに読むと、いつもの伊坂作品同様大変よくできていて話に素直に驚かされる。伊坂作品は全体にそうなんだけど、素直にわーすげーって驚きながら読むのが一番楽しい。

彼の作品群はエンターテインメント性に富んだものが多いが本作も十分その領域では読ませる作品。

 

惜しむらくは後半戦のスピンモンスター。途中まではいいのだが、最後のオチに向けた展開の部分は若干意見がわかれるんじゃないかなという気もしないでもなかったです。

彼の作品のわりにはスッキリ落とす感は若干弱い感じ。

 

螺旋プロジェクトの他の作家さんの作品群はまだ読んだことないので読後感はそれらもセットで評価した方がいいのかなぁ・・ただこのプロジェクト同一の舞台装置を使っているだけでストーリーラインとして重要な部分が関連しあっているわけではないからまたちょっと読んでみないとなんともですね。