読了:「女のいない男たち」村上春樹 短編集

しばらく積読になっていた本読了。

GWの個人的課題の一つ。全6篇の短編のうち後半3つを一気読み。

 

シェエラザードは正直読後感は気持ちが悪いものを感じてちょっと不気味な後味。

この話だけが直接的には「主人公が女のいない男ではない」ところもみそ。

あまり深く考えず感覚的に最近は読書をしてしまっているのだけど、読了後に考察サイトを見てみるとちゃんと深く読んでいる人もいてなるほどねと思ってしまう。

実はこの話の主人公は既に一度何かを失っているのだという説。

そして、うまく言えないんだけど騎士団長殺しも含め近作の中に出てくる通ってくる女性の設定って自分の中でうまく消化できないモチーフなんですよね。実は彼女こそが主人公の失った女性である(いやメタな)という考察をしている人がいてなるほどそれは気持ち悪いと思った次第(多分そういう意図では書かれてないと個人的には思ったけどそういう解釈はホラー味があって面白いねと)。

 

木野、これもまた若干不気味な読後感を残す。村上作品のファンタジーとしてよくでてくる、善なるものと邪なるもの、そして主体を持たないがゆえにそこに悪い方向で巻き込まれていく主人公。この後どうなる?っていうところで話は終わります。

長編になるんじゃね?って書いてる人もいましたが確かにそういう雰囲気はありますね。ただまぁこのパターンは割と定番だからどうだろうな。

 

女のいない男たち、表題作。正直ピンと来なかったけど書き下ろし。村上作品では過去に付き合っていた女性が自死するパターンが多すぎる(と作中にもあるけど)よね。小説の読み方は人それぞれだし、どう解釈するかは作者の問題ではなくて読者側の問題なので、その自身の心の動きを良くも悪くも楽しむのが読書のだいご味。ただまぁ彼の作品にはフィクションだからこそかもしれんが、登場人物が「不健全な関係の渦中にいすぎる」よねぇ・・感があります。この話も多分そういう話をベースにしてる気がするなぁ。

まぁでも総じて面白かった。短編の方が想像する余地が大きくといいところも多いですよね。