読んだ本:夏への扉

星4.5

古典中の古典。名作中の名作。で、紙の文庫も買っていたけど読まないうちにどこかに紛失し、Kindleで買っていた積読になっていたものを、一気読み。(旧訳と新訳があるらしいですが私の読んだのは旧訳版

 

訳者の福島正実さんは言わずと知れた超有名翻訳家、この本に至っては1958年の翻訳(そもそもオリジナルの出版が1956年)。舞台は1970年から2001年にかけての話。我々からすれば遠い過去と、一昔前の過去。当時としては近未来と、完全な未来。

そりゃ時代感覚も言葉遣いも(作中でも言われてた通り)ずれててあたりまえ、

何ですが、どうしても作品始まってしばらくの主人公の一人語りのシーンがすっと入ってこなくて、読めていなかったもの。

体調崩して時間があったのもあるけどなんか急に読みたくなって読了。読み進めてみるともうその世界観に入っていくので特に違和感なく読めましたし、何しろ秀逸なストーリー展開とその人物描写。と猫描写。

SFとして見るとそのモチーフは今となってはありきたりだし、ぶっちゃけストーリー上の伏線が今時の目線でみると透けて見えて実際その通りに展開していきます。(が、そこが安心してカタルシスにつながる点でもあります)。出版当時は相当に尖ってたんですかね。今では結構な家庭に普及したルンバにしか思えない「文化女中器」とか、CADを思わせるシステム、機械学習により高度な動作が可能な汎用ロボットなどガジェットも豊富。

「タイムなんちゃら」とついていたら基本ダメ映画という法則を見出したタイムもの好きな私としては、その中心のストーリーはさすがに今時の凝った話とは異なりますがその系譜のオリジナルに近しい作品であるなとつくづく感心しました。名作。

序破急の序急の部分は猫好きには猫小説としても読めます。

 

あ、ちなみに、去年国内で公開された同名の映画は怖くて見れない予感ですwはたして。